Archive for the 'スコットランドFAQ' Category

バグパイプ(ツイートまとめ/スコットランドFAQ)

例によってTwitterの「スコットランド」キーワード検索を読んでいたら、こんな会話が進行していた。

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amekura101: ボヘミア地方にバグパイプっていうイメージが湧きにくい。

amekura101: 手元のハーヴァード音楽辞典だと、ヨーロッパだけでなく、北アフリカ、中近東、中央アジア、インドでも人気があった/あると書かれていました。うーん。イメージ (先入観) っていうのは恐ろしいものですねえ。ありがとうございます。 @shostakovich @maroemon

maroemon: そうですね。でも実はかなり広く分布しているんですよね。個人的には東欧だとポーランドのが有名という感じを持っています。RT @amekura101: ボヘミア地方にバグパイプっていうイメージが湧きにくい。

maroemon: @amekura101 それなのに、なぜスコットランドのやつだけがこんなに有名になったのか、調べたら面白そうですよね。誰かやってくれないかなあw

amekura101: 観光、帝国主義、ナショナリズム、民族ステレオタイプの創生、なんて勝手にキーワードを出してみたり。 RT @maroemon: @amekura101 それなのに、なぜスコットランドのやつだけがこんなに有名になったのか、調べたら面白そうですよね。誰かやってくれないかなあw

tinouye: @maroemon わたしは単純にあの服装とセットで有名なんであって、バグパイプだけだったらきっと有名になってなかったと思います。

maroemon: @tinouye なるほど、他と同じなのにそれだけが突出して知られているケース、ということですね。そういうケースは、なにか特別な要因が関係してそうですし、調べると面白ろそうですね。

tinouye: @maroemon 問題を矮小化するようで申し訳ないですが、単にマーケティングとして売るという行為も、最近はやりのご当地ものやご当地グルメみたいなのも、別にそこにしかないわけぢゃない場合を考えると人工的にそれを作る方法論かも。

maroemon: @tinouye いえいえ、見落とせない視点だと思います。スコットランドのバグパイプを考えたときに、例えば「音楽の都ウィーン」という類のイメージがどう作られて消費された/されているのかという問題を連想しました。

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ので、部外者なんだけど乱入してみた。この間のキルト話とも関連があるので、以下に乱入ツイートをまとめてみました。

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個人的な推測ですが、大英帝国軍での使用の影響は大きいと思います。<バグパイプ=スコットランドの固定観念 RT @maroemon: @amekura101 それなのに、なぜスコットランドのやつだけがこんなに有名になったのか、調べたら面白そうですよね。誰かやってくれないかなあw
posted at 01:51:10

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)英国陸軍ではスコットランドのハイランダー連隊というのが幾つもあって、勇猛果敢な歩兵隊というので非常に重用されました。アフリカでの領土拡大から第一次大戦まで、エピソードに事欠きません。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:08:59

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)ハイランダー連隊の攻撃はバグパイプが先頭に立ち、キルト着た歩兵集団がその後について敵陣に突っ込んでいくというスタイルでした。どんな劣勢でもお構いなし。神風攻撃歩兵版というイメージ。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:13:20

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)バグパイプの音と共に現れるキルト軍団という突飛さもあってすごくインパクトが強かったらしいです。で、このスタイルで世界に版図を広げたから世界的にイメージが定着したのではないかと。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:18:06

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)ちなみにバグパイプ楽隊って歴史が古いところはみんな軍楽隊だし、民間のバグパイプ楽隊も通常は軍用キルトスタイルのユニフォーム着ますね。スタンダード曲は進軍用行進曲中心。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:22:49

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)そして日本の場合バグパイプ×キルト(=スコットランド)というイメージを植え付けたのは「キャンディキャンディ」だと思うんですが、あの「丘の上の王子様」もミリタリーキルト着てましたw RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:27:06

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スコットランドFAQ: サッカーワールドカップとスコットランド

Twitterで「スコットランド」というキーワードの検索結果をTweetDeckのコラムに設定しておいてチェックしているのですが、サッカーワールドカップが始まると急にサッカー関係のツイートが増えました。その内容を要約すると、大体こんな流れになります。

なぜイギリスチームを「イギリス」じゃなくて「イングランド」って呼ぶの?

え、イングランドとかスコットランドとかって国なわけ?

ふーん、イングランドってのはイギリスの一部なのか。じゃあスコットランドやウェールズ、北アイルランドからはなぜ出ないの?

どうしてイギリスだけ4チームも出場できるの?不公平じゃん。

イギリスで統一したチーム出した方が強くなるだろうに、何で統一しないの?

というわけで、このあたりの事情を『スコットランドFAQ』シリーズの一環としてまとめてみたいと思います。
なお、関連した話として2年前の北京オリンピックの時に書いた「オリンピックとスコットランド」と題する記事も参考にしてください。こちらにもサッカーの話がちらっと出てきます。

なぜイギリスチームを「イギリス」じゃなくて「イングランド」って呼ぶの?

「イギリス」という日本語はThe United Kingdomという国と、その一部であるEnglandという地の両方を指して使われることがあり面倒くさいのですが、サッカー国際試合ではUnited Kingdomから4ヶ国の代表チームが出場するため、混乱を避けるためにイングランドのチームは日本でも「イングランド」と呼んでいます。United Kingdom全体を代表するサッカーチームは存在しません。

え、イングランドとかスコットランドとかって国なわけ?

スコットランドFAQ – 1に書いたとおりの事情になっています。

イングランド、スコットランド等は、英語で言うところのcountry(国土としての「国」)でありnation(国民としての「国」)でもあるのですがstate(政治国家としての「国」)ではありません。StateであるUnited Kingdom(連合王国)を構成するcountryでありnationです。連合王国ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つをまとめて”home nations”と呼んでいます「国内の国」というようなイメージでしょうか。

こちらもご参照くださいませ。
「英国」と「イギリス」

ふーん、イングランドってのはイギリスの一部だけなのか。じゃあスコットランドやウェールズ、北アイルランドからはなぜ出ないの?

予選の段階では4つの代表チームが全て出場しているのですが、残念ながらイングランド代表以外はすべて予選敗退に終わりました。ちなみに4チーム全てが揃ってW杯に出場したのは1958年が最後。ウェールズはサッカーよりラグビーが盛んなお国柄で、これ以降一度もW杯に出場していません。北アイルランドは1958年、1982年、1986年大会に出場、1958年には決勝トーナメント進出を果たしています。スコットランド代表は1950年以来計8回出場したものの全てグループ敗退。スコットランドがW杯に出場した最後の年は1998年のフランス大会で、ちなみにこれは日本代表がW杯に初めて出場した年でもあります。

どうしてイギリスだけ4チームも出場できるの?不公平じゃん。

簡単に言えば、これはサッカーというスポーツが組織化された時代以来の事情によります。

サッカーの母国
イングランドは一般に「サッカーの母国」と呼ばれています。サッカーと似たような球技は日本の蹴鞠を始め古くから世界中にあったのですが、現在のサッカーはイングランドで発達したバージョンをベースにしたもので、イングランドで1863年に設立されたフットボール・アソシエーション(FA)が制定したルールに基づいているため「アソシエーションフットボール」と呼ばれています。「サッカー(soccer)」という名前は、アソシエーション(Association)の略称「Assoc」に由来しています。サッカーはまず連合王国全土に、そしてヨーロッパへ、世界へという順番で広がりました。まず連合王国内でFAに続いて各nationのサッカー協会が設立されました。FA設立の10年後の1873年にスコットランドサッカー協会(SFA)が、そして1876年にウェールズサッカー協会(FAW)、1888年には北アイルランドサッカー協会(IFA)が誕生しました。この時点ではそれぞれの協会が少しずつ違うルールで試合していたため、国際試合のためには統一ルールが必要だという話になり、1882年に4協会合同で国際サッカー評議会(IFAB)という組織を設立し、ルールを規定しました。この組織は現在でも国際サッカーのルールを規定する機関として続いています。

FIFAの登場
サッカーの人気はヨーロッパでも拡大し、やがて国際試合の運営などを行う組織が必要だとの認識から国際サッカー連盟(FIFA)が誕生します。設立は1904年。ヨーロッパ大陸の8カ国の代表が集まり、パリで設立した、ヨーロッパ主導の組織です。とはいえ当時の認識としてはサッカーは連合王国から発祥したスポーツで、本場はあちら。ルールについても連合王国の規定に従うことにし、先行の4協会がFIFAに加盟する一方、1913年にはFIFAがIFABへの参加を認められることになりました。ただし、この時にはFIFAと4協会は同じ議決権を持つという規定になっていたため、世界のサッカーの代表であるはずのFIFAの提案でも、4協会が結託すれば却下できるようになっていました。IFABにおけるFIFAの立場は、あくまで「主流4協会」に対する「その他大勢代表」という扱いだったのです。これは1958年に議決権が改定されるまで続きました。

ワールドカップ
FIFAがサッカーワールドカップを創始したのは1930年。それに先駆けてサッカーは1908年にオリンピック種目に加わっており、FIFAもオリンピックでのサッカー競技運営には参加していたのですが、アマチュア限定というオリンピックの足かせのため真の世界トップを決めるには不足という認識から、FIFA独自の国際大会を設立するに至ったのです。FIFAに加盟する各国サッカー協会の選出した代表チームが戦うという形なので、もちろん最初から連合王国からは4代表チームがそれぞれ出ました(ただし、1950年以前のワールドカップには連合王国4協会の代表は参加していない)。政治的な国の境界線とサッカー協会の枠組みが不一致なのは連合王国に限ったことではなく、国連加盟国の総数は192カ国であるのに対し、FIFA加盟協会数は208。例えば台湾、香港、パレスチナなど、政治的には「国」ではないが代表チームを出している国があります。

FIFA、特にアフリカ諸国の協会を中心にして、「連合王国4チーム体制は不公平、統一すべき」という声は過去にも出ています。しかし4協会は頑としてこの圧力に反対し、19世紀から続く現体制を維持してきました。

イギリスで統一したチーム出した方が強くなるだろうに、何で統一しないの?

イングランドが「サッカーの母国」であり、連合王国の4つのnationがサッカー普及の源流だったことを忘れてはいけません。スコットランド出身でリバプールFC黄金時代の名マネージャーとして名声を博したビル・シャンクリーは言いました。

“Some people think football is a matter of life and death. I assure you, it’s much more serious than that.”

(サッカーを生死に関わる問題だという人もいるがね、馬鹿を言っちゃいけない。サッカーはもっともっとずっと重要な問題なんだ)

世界初のサッカー国際試合は1872年。対戦したのはスコットランド対イングランドでした。それ以前にも「イングランド対スコットランド」戦という試合は行われていたのですが、スコットランドチームの実態はイングランドでプレイしていたスコットランド人の集まり。そこで真のスコットランドチームとイングランドという対決をやろうということになってこのカードが実現したのです。当時はまだスコットランドサッカー協会も設立されていない、いわばサッカーの黎明期。が、後発組で劣勢と思われたスコットランド代表はホームゲームの利と、選手全員を同一クラブから選出するという戦略で意外な強さを見せ、惜しくも勝利を逃して引き分けという結果に持ち込みました。19世紀後半といえば、18世紀にへし折られた民族のプライドを取り戻そうというナショナリズムがスコットランド全体で高揚してきていた時期。果敢な戦いぶりを披露したこの試合はスコットランド人にとって大きなインパクトを残したのです。以来スコットランドにとってはイングランドは永遠のライバル。一緒にやった方が強いなんて発想は最初からありません。それは例えばカナダのアイスホッケーチームに対して「チームUSAと合併したら無敵なのに」と言うのと同じこと。合併などするならそれこそ死んだ方がまし、というまさに「生死より重要な問題」なのです。

この「連合王国サッカーチーム」問題は、2012年のロンドンオリンピックに向けてまた浮上しました。これまで連合王国ではこうした事情からオリンピックのサッカーにはチームを出してこなかったのですが、さすがに主催国のお国芸なのに出場なしというのはまずいだろうという声が高まったのです。が、もし統一チームの前例を作ってしまったらFIFAからまた4協会統一への圧力が高まるのは必至と考えるスコットランドサッカー協会は猛反対。ウェールズ、北アイルランドの協会も反対の姿勢をとり、国民の声もこれを支持しました。結局、「スコットランド・ウェールズ・北アイルランドはこれまで通りオリンピックのサッカーには関与せず、統一チームを組織することもしない。ただし、イングランドが「連合王国代表」という名の下に単独で出場することは阻まない」という合同声明が出て、事態は一応の決着を見ました。

逆にスコットランドで「オリンピックにもスコットランド独自チームを出したい」という声があることは、「オリンピックとスコットランド」にも書いた通りです。

もしイングランドのFAがFIFAからの圧力に同調して4協会合併を図ろうとしたり、政府が統一を勧告するような事態が今後出てきたらどうなるか?おそらくこれは政治問題に発展するはずです。スコットランドには自治議会があり、その与党はスコットランド独立を党是に掲げる民族主義の政党。前回の選挙ではごくわずかな得票数差で勝利したものの過半数には遠く、連立も結局しないまま少数政権でやってきましたが、サッカーの独立喪失という事態が出てきたら、次の選挙では大勝することが予想されるでしょう。そうなればサッカーにとどまらず国家独立に向けて動き始めるのは確実です。たかがサッカーがきっかけで国が独立、なんて日本人の目から見たらあり得ないかもしれませんが、忘れてはいけません。スコットランド人にとって「サッカーは生死より重要な問題」なのです。

キルトの話(ツイートまとめ/スコットランドFAQ)

Twitterの会話でキルトの話が出ていたので乱入して延々と語りつぶやいてしまいました。ちょうどキルトについての本の企画が進行中なので、ネタメモ代わりに記録を残しておくことにしました。会話の端緒は、「スコットランド人カップルが連れ立って歩いているのを見たが、男性はキルト姿だけど女性の方は普通のスーツ姿」という話。というわけで、スコットランドFAQ・キルト編です。
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キルトはスコットランドでは普通に礼服扱いだから、男性キルト、女性は普通の(でもドレッシーな)洋服って割と当たり前な感覚です。 RT @okok_o: @mogyayome スコットランド伝統衣装ではないという意味の「普通服」でした ただしくはスーツ姿(よそいき風)。
posted at 09:59:51

特に無いんです。伝統芸能だとタータンスカートはいたりドレスにタータンサッシュかけたりするけど、あとは男性キルトでも、女性はドレスコードに合わせた洋服が普通。 RT @mogyayome: @okok_o そう言えばスコットランドの女性用衣装って何も印象に残っていない気が…
posted at 10:07:36

でもヨーロッパでは特に民族衣装と呼べるものがない国が多いですよね。逆に独特の民族衣装があって今も普通にそれを着るという国の方が珍しいかも。キルトはけっこう特殊事情もあるし。 RT @mogyayome: @yunod 特にないというのは驚きでした。なんだか非対称ですね。
posted at 10:22:23

キルトの特殊事情: キルトはもともとスコットランドの民族衣装ではなくハイランドの民族衣装。しかも英国を震撼させた1745年のジャコバイト反乱後、キルトの着用は法律で禁止令された。
posted at 10:37:58

キルトの特殊事情(続き): 禁止令で唯一除外されたのが軍でのキルト着用。反乱でも示されたハイランダーの勇猛さが注目され、軍組織への取込みを図った。その際「軍ではキルト着ていいよ」が釣りになった。
posted at 10:44:32

キルトの特殊事情(続き): ハイランドが徹底弾圧を受ける中、ハイランダーとしての誇りを持って行動できる場として軍が提供された。現在のキルトはこの軍服の流れを汲んでる。
posted at 10:48:38

キルトの特殊事情(続き): 一方キルトをスコットランド全体の民族衣装に変えた立役者は作家ウォルター・スコット。UK体制下でスコットランド文化復興に熱心だったスコットは、キルト禁止令解除をきっかけに南部でのキルト普及を図った。
posted at 10:52:58

キルトの特殊事情(続き): 1822年の国王訪スコのイベント演出を担当したスコットは、なんと国王にド派手なキルトを着せ、ハイランドをイメージしたパレードをエディンバラで実行した。
posted at 11:00:09

キルトの特殊事情(続き): 国王のキルト姿は当時のメディアで散々揶揄されたものの、スコットの狙いは成功し、その後「キルトはスコットランドの民族衣装」という意識が定着していった。礼服としてのキルトの起源はこの辺りにある。
posted at 11:05:56

ちなみに「クランのタータンでキルトを作って着る」ってのはそれよりさらに後世に生まれた伝統で、布地屋がたくさんの「クランタータン」を創作したw
posted at 11:09:20

あ、ちなみに今度キルトに関する本を共著します。私はこの手の薀蓄担当w 出るのは来年になりますがよろしく〜♪
posted at 11:11:41

人気画家による肖像画→ http://bit.ly/apaIEs / 実物により忠実らしいカリカチュア→ http://bit.ly/a0MtKr RT @Ckis: うわーなんか見てみたい。かっこよさそう。RT @yunod: スコットは、なんと国王にド派手なキルトを着せ…
posted at 12:28:10

肖像画の色は実物よりかなりトーンダウンしてるらしい。おまけにピンクのタイツ履いてたらしいw RT @yunod: 人気画家による肖像画→ http://bit.ly/apaIEs / 実物により忠実らしいカリカチュア→ http://bit.ly/a0MtKr RT @Ckis
posted at 12:31:10

私の知らなかった日本・選挙

今度の日曜日は衆議院総選挙だそうで、港区のある東京1区には、解散前の現職大臣も含め8人が立候補しているらしい。町には候補者名連呼の宣伝カーが行きかっている。うるさいといえばうるさいが、我が家の周辺は某大使館が近いためもともと右翼の宣伝カーの周回ルートになっており、候補者連呼カーは音が割れて何言ってるんだかわからないほどの大音量ではないだけ良心的とも言える。

友人の中には選挙活動で足を棒にして駆け回っている人もいるというのに他人事みたいな言い方で恐縮だが、私は選挙権がないので実際に他人事なのである。それでも一応は買い物途中に候補者公示の掲示板で誰が立候補しているのか確認してみるくらいのことはした。

が、8人の候補者の所属政党のうち、私が知っていた頃の日本にもあった政党に属している人は2人しかいない。現職大臣氏の自民党と、新卒者かと思うような若者顔の(でも33歳だそう)候補者を立てている共産党。他には公明党も当時から名前の続く政党だが、連立政権に加わっているせいか候補は立てず、現職氏を推薦しているらしい。

今回の選挙のキーワードは「政権交代」だそうで、それを狙う野党第一党が民主党。もちろん東京1区でも候補を立てている。国民新党という党もこの候補を推薦しているという。というわけで、解散前の議席保有政党からの候補は3人で、残る5人は「幸福実現党」だの「スマイル党」だの「世界経済共同体党」のイエス様だのというよくわからない政党や無所属の候補。

私の知っていた日本では、野党第一党といったら社会党のことだった。だから何となく民主党というのは社会党の流れをくんでいるのかなというイメージを持っていたのだが、そういうわけではないらしくて、社民党というのが社会党を改名した党なのだそうだ。このあたりの経緯もWikipediaで読んでみたが、正直言って何がなんだかよくわからない。どうやら、一時期日本では従来政党の分裂や分離独立、新党結成などで政党数がどっと増えたことがあって、政治地図が群雄(?)割拠の戦国時代みたいな状態になっていたらしい。その後、今度は政党の収斂という流れになり、吸収だの合併だのがあって今に至っている、というのはまあわかった。だから民主党も社民党もかつての政党から分かれたたくさんの新党の血筋を取り込んでいて、これはどこの流れとは言いにくい。その辺をわかりやすく説明してくれる図はないものかと探したら、こんなのを見つけた。
http://l10.mocovideo.jp/download/1a4f5e536c3f85b2549c9195022c8c43.pdf

なるほどー・・・と言いたいが、左端にある日本新党というのもすでに私の聞いたことがない政党だ。1992年の結成だという。ついでに言えば、名前は私も記憶にある公明党も、今の党は私が知っていた公明党とはちょっと違うようで、英語名は New Komeito というのだそう。一度分裂して名前が変わって、その後また別の党と合併したときに元の名に戻したらしい。表札は同じでも所帯の構成は違うというわけだ。複雑だったのね、日本の1990年代って。

まあこれを見ると要するに、万年与党の自民党対万年野党の社会党という私の記憶にある図式はもう昔々の話であって、現在は保守の自民党と、同じく基本的には保守の民主党が二大政党として政権を争っている、ということになるようだ。ふーん、そうなのか。

そういえば、もうひとつ様変わりしていることがあった。候補者告示掲示板を見ると、「衆議院小選挙区選出議員選挙ポスター掲示場」と書いてある。いつの間にか衆議院選挙が小選挙区制になっているらしい。と思ってチェックしたら、英国国会のような単純小選挙区制ではなく、小選挙区比例代表並立制なんだそうだ。だから選挙に行くと2枚の投票用紙を渡され、片方には小選挙区候補者名、もう片方には比例代表の政党名を書く、という仕組みになっている、らしい。

スコットランド議会の選挙制度も小選挙区候補者名と政党名の2つに票を投じる仕組みなので似ているが、スコットランドの方は小選挙区比例代表並立制ではなく小選挙区比例代表併用制でちょっと違うらしい。日本式では比例代表制と小選挙区制のふたつの事実上独立した選挙が同時に行われる、というような仕組みであるのに対し、スコットランドの選挙方式では、各政党が出す名簿は「トップアップリスト」という扱いになっており、まず小選挙区制で議席を割り振った後で、最終的な議席数が比例代表制の得票率に従うようにリストから残り議席分を追加していく、という形になる。

例えば、話をわかりやすくするため、総議席数が100議席、うち半分を小選挙区で選ぶという選挙で、3つの政党A・B・Cが戦ったとする。そして、その小選挙区結果がA30議席、B15議席、C5議席となり、一方比例代表制の得票結果がA40%、B30%、C30%だったとする。

日本式の場合、残り50議席を比例代表制名簿から得票数に従ってAに20議席、Bに15議席、Cに15議席と割り振ることになる。従って総議席数の配分は、A50議席、B30議席、C20議席という結果になる。

スコットランド式の場合、比例代表制の得票率に従って総議席数を配分することが目標で、名簿はそのための追加配分に使う。従って上記の選挙結果の場合、名簿からはAに10議席、Bに15議席、Cに25議席を割り振ることで、総議席数の配分をA40議席、B30議席、C30議席にする。小選挙区制では割を食った政党Cも比例代表制では健闘したので、それを反映するため名簿から大量の当選者が出るというわけだ。一方、小選挙区で大量当選を出したAに対しては、リストからの配分を少なくして比例代表得票とのアンバランスを是正している。

「私の知らなかった日本」のはずだったのに、いつの間にか「スコットランドFAQ」に脱線してしまった。ちなみにスコットランド議会は地方自治議会であって国会ではないため在外投票権を設定していないので、私は現在スコットランド議会選挙でも投票権がありません・・・(涙)。

それでは皆さん、日曜日にはちゃんと投票に行ってくださいねー。

スコットランドFAQ – 番外編

Maratさんという方から質問をいただきました。

こんにちは。
スコットランドに留学しようと考えている者です。

質問なのですが、エッセイによるとスコットランド訛りは
好感度が高く、評判がいいとのことですが、それはスコットランドの
どの地方の訛りを意味しているのでしょうか?

また、スコットランドの地方それぞれの訛りの特徴は
どのような感じなのでしょうか?

ご教授お願いします。

ご質問にあるエッセイというのはこちらですね。

エッセイ・ふだん着のスコットランド
5章 スコットランド人って何だ? ~ 標準スコットランド弁

方言が特定の印象を喚起される、というのは日本語でもありますよね。例えば大阪弁を聞くと自動的に吉本芸人とか大阪のおばちゃんとかいったステレオタイプのイメージが喚起されて、なんとなく「大阪弁をしゃべる人」=「がさつ」といった先入観がついつい入ってしまう、でも同じ関西方言でも京都弁の場合はおっとりと上品なイメージがある、という具合。英国内のアクセントについても同じように無意識に固定されたイメージがあるようです。さらに英国では階級によるアクセントの違いというのもあって、いわゆるオックスブリッジアクセントや「クイーンズイングリッシュ」は一般大衆にとっては「上品で知的」ではなく逆に「すまし返って偉そうな感じ」といったネガティブな印象を与えることもあります。で、各種アクセントについて人々がどんな印象を受けるかという研究調査を行ったところ、スコットランド訛りの人からは「温かみがあって信用できそうな印象」を受けるという結果が出たのだそうです。この結果については、特にスコットランド内のどのアクセントという厳密な区分はしていないようです。確かにひとくちにスコットランド訛りといっても地域や階層によりいろいろなアクセントがあります。が、平均的、標準的な、あまり地方色の強くないスコットランド訛り、というものは存在します。

BBC Scotlandのニュースキャスターの例


政治家の例

温かくて信頼できる感じ、するでしょうか?

スコットランド方言全体に当てはまる特徴については以下のページも参照してください。
http://en.wikipedia.org/wiki/Scottish_English
(英語ページ)
※日本語ページもありますが(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E8%8B%B1%E8%AA%9E)、今のところ書きかけ状態で、英語版ほど詳しくありません。

次にスコットランドの地方それぞれの訛りの特徴ですが、言葉で説明するのも難しいので、例を拾ってみます。違いがわかるでしょうか?

ただし、同じ地域の出身の人でも階級差によるアクセントの違いや世代間での違いが存在し、また上記の例も知人同士の会話を録音しただけの非常に聞きにくいものと、カメラを意識してわかりやすく話しているものが混在していますので、この地方では誰もがこのように話しているということではありません。あくまで参考例ということで。

Stranraer: 南西部

Glasgow: 西部

Edinburgh: 南東部

Fife: 東部

Dundee: 中部

Aberdeen: 北東部

Highlands: 北西部

なお、最初のStranraerの人の話は私もさっぱりわからないです(苦笑)。
EdinburghとHighlandsの若い人の録音は聞きやすいと思います。ちなみにEdinburghの人は「グラスゴーの不良少年の話し方の真似」というビデオも作っていて(http://www.youtube.com/watch?v=ewo0HwyND-c)、こちらは同じ人が普通に話しているビデオに比べて格段にわかりにくいと思います。比べてみてください。(でも本人はグラスゴー訛りをまねしたつもりでもやっぱりエディンバラ訛りの不良少年になってる・・・(笑)。)
個人的には、Fifeのヒゲのおじさんの話し方は前のダンナのお父さんの話し方とすごく似ていてとても懐かしく感じました。

スコットランドFAQ – 5のおまけ

そういえば、数年前に鉄道でウェストハイランドのモーラー(Morar)に行った時の事。
グラスゴーからモーラーまでの長い道中で、近くに座っていた若いカップルが、おもむろに取り出したのはValvona & Crollaの袋。エディンバラの有名なデリカテッセンです。私たちと同じく、エディンバラから来ていたのでしょう。袋の中から出てきたのはおいしそうなバゲット、スモークサーモン、クリームチーズ、生ハム、サラダ、そしてシャンパンのボトルとプラスチックカップ。2人は列車の座席でおもむろにサンドイッチを作り、シャンパン片手に優雅な車中食を始めたのでした。あれ、おいしそうだったなあ。こちらはグラスゴーの駅の売店で買い込んだサンドイッチをかじりながらじろじろ眺めるばかりでした。

いっそデリとかでいろいろ買って食べる、というのもありかもしれません。Valvona & Crollaの他、Peckham’s(こちらはグラスゴー・エディンバラに数店あり)もなかなかおいしそうなものを売ってます。有名どころのほかにも小さなデリなどあちこちにあります。また、パン屋さんなどでもけっこうおいしいところがいろいろあるので使えそう。

スコットランドFAQ – 5

スコットランドFAQを続けます。
なお、スコットランドFAQに掲載してほしい質問がありましたら、質問募集の投稿にコメントとして送ってください。お待ちしています!

スコットランドの水は飲めますか。

水道水を飲んでも大丈夫です。軟水なので日本人にも違和感はないと思います。地域によっては水道水がとてもおいしいところもあります(水源がいい)ので試してみてください。なお、ハイランドや離島に行くと、水道水が茶色く濁っていてびっくりすることがありますが、錆や泥ではありません。泥炭地質なので水が泥炭を透過する際に色がついてしまうのです。清流の水もこの色です。スコッチウィスキーづくりに使われる水でもあり、水質には問題ありませんので安心してください。

スコットランドは食事がまずいと聞いたので不安です。

スコットランドでもおいしいものはおいしいのですが、当たり外れがけっこうあるのは確かでしょう。

エディンバラとグラスゴーについては、The List誌(日本の「ぴあ」やロンドンの「Time Out」のような雑誌)が年に1度別冊として”Eating & Drinking Guide”を発行していて、我が家ではこれを毎年買って外食のバイブルにしていました。レストランは料理タイプ別のカテゴリーに分類され、高級レストランだけでなく、パブの食事や博物館・劇場などのカフェ、テイクアウトの店までカバーしています。各カテゴリーについて”Hit List”というおすすめのお店のリストがついているのが便利。別冊を買うと6ポンドくらいしますが、オンライン版もあります。
http://www.list.co.uk/eating-and-drinking/

エディンバラ・グラスゴー以外の地域については、The Listの別冊にも車で気軽に行ける範囲内でいくつか掲載されてはいるものの、数が少ないです。基本的には、地元の人に聞いてみる、というのが外れクジを避けるにはいちばん確実な方法でしょう。夕食を出さないB&Bなどでは、聞けば教えてくれると思います。レストランつきのホテルだと嫌な顔されるかもしれませんが。

個人的な印象としては、

  • ショッピングセンターのセルフサービスレストランや駅のカフェなど一人で気軽に入りやすい食事処はたいていまずい
  • フィッシュ&チップスは店による当たり外れが大きいので地元の評判を聞くべき。あるいは行列になっている店を狙う(行列がない場合揚げたてでなく作り置きになっていてまずいことが多い)
  • マクドナルドは信じられないほどまずいので、どうしても国際チェーンのハンバーガーを食べたいならバーガーキングにすべき
  • インド料理・タイ料理は比較的外れが少ないと思う
  • イタリアンもまあまあいけることが多い気がする
  • スコットランドのフィッシュ&チップス店はイタリア系住民が経営していることが多く、ピザもやっている場合がある。そういう店のピザはわりとおいしいことが多い
  • 中華はけっこう外れがある(特にtakeaway)
  • ケーキ(生菓子)類は外れが多い。スコーンやパウンドケーキなどの焼き菓子の方がおいしい
  • スコットランドの日本料理には期待しない方がいい

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