今度の日曜日は衆議院総選挙だそうで、港区のある東京1区には、解散前の現職大臣も含め8人が立候補しているらしい。町には候補者名連呼の宣伝カーが行きかっている。うるさいといえばうるさいが、我が家の周辺は某大使館が近いためもともと右翼の宣伝カーの周回ルートになっており、候補者連呼カーは音が割れて何言ってるんだかわからないほどの大音量ではないだけ良心的とも言える。
友人の中には選挙活動で足を棒にして駆け回っている人もいるというのに他人事みたいな言い方で恐縮だが、私は選挙権がないので実際に他人事なのである。それでも一応は買い物途中に候補者公示の掲示板で誰が立候補しているのか確認してみるくらいのことはした。
が、8人の候補者の所属政党のうち、私が知っていた頃の日本にもあった政党に属している人は2人しかいない。現職大臣氏の自民党と、新卒者かと思うような若者顔の(でも33歳だそう)候補者を立てている共産党。他には公明党も当時から名前の続く政党だが、連立政権に加わっているせいか候補は立てず、現職氏を推薦しているらしい。
今回の選挙のキーワードは「政権交代」だそうで、それを狙う野党第一党が民主党。もちろん東京1区でも候補を立てている。国民新党という党もこの候補を推薦しているという。というわけで、解散前の議席保有政党からの候補は3人で、残る5人は「幸福実現党」だの「スマイル党」だの「世界経済共同体党」のイエス様だのというよくわからない政党や無所属の候補。
私の知っていた日本では、野党第一党といったら社会党のことだった。だから何となく民主党というのは社会党の流れをくんでいるのかなというイメージを持っていたのだが、そういうわけではないらしくて、社民党というのが社会党を改名した党なのだそうだ。このあたりの経緯もWikipediaで読んでみたが、正直言って何がなんだかよくわからない。どうやら、一時期日本では従来政党の分裂や分離独立、新党結成などで政党数がどっと増えたことがあって、政治地図が群雄(?)割拠の戦国時代みたいな状態になっていたらしい。その後、今度は政党の収斂という流れになり、吸収だの合併だのがあって今に至っている、というのはまあわかった。だから民主党も社民党もかつての政党から分かれたたくさんの新党の血筋を取り込んでいて、これはどこの流れとは言いにくい。その辺をわかりやすく説明してくれる図はないものかと探したら、こんなのを見つけた。
http://l10.mocovideo.jp/download/1a4f5e536c3f85b2549c9195022c8c43.pdf
なるほどー・・・と言いたいが、左端にある日本新党というのもすでに私の聞いたことがない政党だ。1992年の結成だという。ついでに言えば、名前は私も記憶にある公明党も、今の党は私が知っていた公明党とはちょっと違うようで、英語名は New Komeito というのだそう。一度分裂して名前が変わって、その後また別の党と合併したときに元の名に戻したらしい。表札は同じでも所帯の構成は違うというわけだ。複雑だったのね、日本の1990年代って。
まあこれを見ると要するに、万年与党の自民党対万年野党の社会党という私の記憶にある図式はもう昔々の話であって、現在は保守の自民党と、同じく基本的には保守の民主党が二大政党として政権を争っている、ということになるようだ。ふーん、そうなのか。
そういえば、もうひとつ様変わりしていることがあった。候補者告示掲示板を見ると、「衆議院小選挙区選出議員選挙ポスター掲示場」と書いてある。いつの間にか衆議院選挙が小選挙区制になっているらしい。と思ってチェックしたら、英国国会のような単純小選挙区制ではなく、小選挙区比例代表並立制なんだそうだ。だから選挙に行くと2枚の投票用紙を渡され、片方には小選挙区候補者名、もう片方には比例代表の政党名を書く、という仕組みになっている、らしい。
スコットランド議会の選挙制度も小選挙区候補者名と政党名の2つに票を投じる仕組みなので似ているが、スコットランドの方は小選挙区比例代表並立制ではなく小選挙区比例代表併用制でちょっと違うらしい。日本式では比例代表制と小選挙区制のふたつの事実上独立した選挙が同時に行われる、というような仕組みであるのに対し、スコットランドの選挙方式では、各政党が出す名簿は「トップアップリスト」という扱いになっており、まず小選挙区制で議席を割り振った後で、最終的な議席数が比例代表制の得票率に従うようにリストから残り議席分を追加していく、という形になる。
例えば、話をわかりやすくするため、総議席数が100議席、うち半分を小選挙区で選ぶという選挙で、3つの政党A・B・Cが戦ったとする。そして、その小選挙区結果がA30議席、B15議席、C5議席となり、一方比例代表制の得票結果がA40%、B30%、C30%だったとする。
日本式の場合、残り50議席を比例代表制名簿から得票数に従ってAに20議席、Bに15議席、Cに15議席と割り振ることになる。従って総議席数の配分は、A50議席、B30議席、C20議席という結果になる。
スコットランド式の場合、比例代表制の得票率に従って総議席数を配分することが目標で、名簿はそのための追加配分に使う。従って上記の選挙結果の場合、名簿からはAに10議席、Bに15議席、Cに25議席を割り振ることで、総議席数の配分をA40議席、B30議席、C30議席にする。小選挙区制では割を食った政党Cも比例代表制では健闘したので、それを反映するため名簿から大量の当選者が出るというわけだ。一方、小選挙区で大量当選を出したAに対しては、リストからの配分を少なくして比例代表得票とのアンバランスを是正している。
「私の知らなかった日本」のはずだったのに、いつの間にか「スコットランドFAQ」に脱線してしまった。ちなみにスコットランド議会は地方自治議会であって国会ではないため在外投票権を設定していないので、私は現在スコットランド議会選挙でも投票権がありません・・・(涙)。
それでは皆さん、日曜日にはちゃんと投票に行ってくださいねー。
昨日偶然、東京一区の選挙ポスターの看板を見ました。
妙な党からの出馬が多いですよね。
政治うんぬんより、目立ちたがりやみたいな人とか。
スコットランドやイングランドでも、妙な団体の代表が
議会に出馬することって多いのでしょうか???
多い・・・とは言わないでも、ありますよ。
有名どころでは”Official Monster Raving Loony Party”というのがあります。
初代党首Screaming Lord Sutchはもともとミュージシャンですが早くから政治にも手を染めていて、OMRLPは地方選挙では議席も獲得しており、国会補欠選挙等でも大政党の候補より多く得票したりすることがあって選挙の時期にはよく話題になりました。Sutchの死後は低迷しているようですが。
また無所属候補者が適当な1人1党政党を作ってその候補者という形で出馬するというのはよくあります。
1994年の欧州選挙では、”Literal Democrat”候補として出馬した人物がいました。明らかに有権者が”Liberal Democrats”(英国の第3政党、自由民主党)と間違えるのを狙ったネーミングで、選挙では1万票以上獲得し、おかげで僅差で自民が議席を逃す結果になりました。
翌1995年にスコットランドで行われた国会補欠選挙では、これを真似た(仕返し?)”Scottish Conservatory and Unionist”候補というのが出馬しましたが、選挙結果に影響するほどの得票はありませんでした。
お久しぶりです。
今回の選挙はウガンダから在外登録したにも拘らず選挙証が届かないため投票できず。
世田谷区め~。
政党の変遷はちょうど物心ついた頃から始まったので意外とライブで追っかけてきました。
実際民主や国民新党の古参議員の政党遍歴を見てみると面白いですよ。
如何に変節漢が多い事か(笑)
Ryu君お久しぶりです。帰国まであと半年だっけ?
ちなみに東京1区の民主党候補の政党遍歴は、税金党→日本新党→民主新党クラブ→市民リーグ→旧民主党→民主党だそうです。税金党ってのは新自由クラブが母体?自民党所属歴はないらしい。